ジョンミューアトレイル単独全踏破紀行

12年になるカナダ生活から得たモットーは、「人生において転ぶことは避けられぬ、転んだあとにどう起きるかどうかが、生きる力なのだ!」というわけで、35歳独身、夏に突然彼氏に別れを告げられ向かった先は、大学時代から夢見続けること15年、カリフォルニア州のジョンミューアトレイル(JMT)。バックパックとわが身一つで、たった一人、山越え谷越え、370キロを超すロングトレイルを歩き抜いた日々、たくさんの人と分かち合いたいとの思いで、始めました。きっと、何か良いものをお届けできるだろうと、願いをこめて…。
本を綴るようなスタイルで書いていますので、はじめての方は、最初の記事から遡ってお読みください。

はじめのごあいさつ

ごらんよ、世界ってこんなに美しい!
ね、生きるってのは、つらいこともあるけど、こんなにも胸躍る、愛おしいことなんだ。


のっけからいきなり最終メッセージ。今からはじめようというこの紀行ブログで伝えたいことは、結局こういうことなんだと思います。
けれど、どこか使い古されたこういうフレーズが、残念ながら心に響かなくなってきているこの時代、多くの人が満たされない何かを求めて、でもその何かが分からなくて迷い続けているこの時代、本当に心の奥底にメッセージ届けるには、どうすればいいのでしょう?


迷いつつ、手探りで、体当たりで。
心をこめて。
自分の言葉で。
そうだ、この旅が、メッセージを届ける土台になるかもしれない。


皆さん、はじめまして、もしくはお久しぶりです。カナダに移住し、山を縦横に駆け巡り続けること12年、野生児のはっぴーです。このたび2016年9月、カリフォルニア州のジョンミューアトレイルを、単独で全行程踏破するという幸運に恵まれました。このトレイルを歩くことは、学生時代からの15年越しの夢でしたが、実際に旅に出るきっかけは突然に訪れ、出発準備期間はたった1か月半、気が付いたら大きなザックとともに飛行機に乗っていた、という始末。きっかけ、準備、そして350キロを超す3週間に及ぶ大自然の真っ只中の旅、全てのひとときが、七転八倒、五里霧中、そして天衣無縫さと森羅万象の恵みに満ちた、人生観をひっくり返すような旅でした。たくさんの愛と親切に支えられた旅でした。これを自分の小さな心と頭の中に閉まって独り占めしているんじゃ、もったいない、情けない。わたしは長らく自然ガイドやヨガ講師というバックグランドを持ち続けたおかげで「何か良いものを人々に、この世界に届けたい、伝えたい」という使命にも近い願いが、いつも心の根っこにあるようです。どうでしょう、お付き合いいただけますか。


体当たりの経験と、生の思いと、汗と涙と自分の足で得た何かを、ここで分かち合っていきたい。ちょっと珍しい冒険を下地に、皆さんの日常の中に、自然の匂い、野生の誇り、人間の可能性、そんなものをお届けしていきたい。


気まぐれに、のんびりと 更新していく旅の過程を楽しんでいただきつつ、わたしが最終にして最高地点のホイットニー山頂に到達するころに、皆さんが、
「いやぁ、地球ってのは、ほんとうに美しいものだよなぁ」とか、
「人生捨てたもんじゃないよね、必ずいいことはある!道は開ける!」とか、
「ううむ、今週末、ちょっと山でも行ってみようか」
なんて思いを抱くようになったら、こんなにうれしいことはありません。


それでは、あいさつと前置きはここまでにして、ジョンミューアトレイルの旅をはじめるとしましょう、、、。